総額人件費とは、従業員に支給する給与や福利厚生費などの「人」に関わるコストの総費用のことを指す。内訳は以下のとおりである。
基本給・固定的諸手当・変動的諸手当・賞与からなる現金給与・退職金・法定福利費・法定外福利費・教育訓練費・採用募集費など。
この総額人件費を算出することにより、人件費が自社にとって適正な水準になっているかどうかを確認することができる。一般的に、従業員1人当たりの総額人件費は、基準内給与の約1.7倍にのぼるとされている。
総額人件費の分析で重要になってくる指標には、
・労働分配率
・1人当たり売上高
・1人当たり付加価値(労働生産性)
・1人当たり経常利益
・1人当たり人件費
などがあり、自社の総額人件費の適正水準を算出する方法は、主に以下の3つの手法がある。
・経営計画からの算出
予想売上高と人件費を除く費用を予想し、想定利益額から支払い可能な総額人件費を算出
・経営指標からの算出
売上高人件費比率や粗利益に占める人件費比率、1人当たりの売上高などの財務指標から算出
・業務分析による算出
業務量調査をおこなったうえで、遂行必要人員数を算出。それに平均給与を乗じて算出。(上記2点に比べて適正水準を正確に算出できるが、時間と労力がかかる)
人件費の適正化や適切な付加価値の分配を行なうためにも、上記のような算出方法を用いて適正水準を算出し、実態とのギャップを比較をする必要がある。そしてギャップがある場合には、人件費の構成、賃金や労働時間、人数調整などの施策を検討する。