はじめに

弊社は、様々な企業で実施されているエンゲージメントサーベイを拝見させていただく機会が多くあります。各社共通することは、サーベイ結果から課題を抽出し、対策を立案し、実行するのですが、思い描くような効果に繋がっていないことが現状です。今回のコラムでは、効果が上がらない要因について考察していきます。
先日(20251121日)、株式会社ノースサンドが東京証券取引所グロース市場に上場しました。2015年に社員11名からスタートしています。当該企業は、株式会社リンクアンドモチベーションが発表する、「ベストモチベーションカンパニーアワード2025」中堅企業部門(1,000名以上)において1位も受賞されています。
サーベイの結果を、適切に課題の抽出、対策を打ってきた企業の事例として、何故1位を獲得できたのか探ってみたいと思います。

状況

株式会社ノースサンドは、従業員数約1600名、売上高250億円、営業利益48.7億円、事業内容は、ITコンサルティングビジネスコンサルティングの会社です。顧客企業の業種は幅広く、当該企業の強みは、「人にフォーカスをあてたコンサルティング」と謳っています。
当該企業の有価証券届書・ホームページ・経営者インタビューで語られている内容から弊社で要点をまとめてみました。 

・従業員数の推移……201611名⇒202089名⇒2024年⇒710名⇒20251500
・売上推移……202010億円⇒202114億円⇒202220億円⇒202344億円⇒202490億円
・創業から10年で上場
・カルチャーマッチ採用……「愛嬌」があって、「素直」で「しつこさ」のある人材のみを採用
・経営者は大手コンサル出身
・競争優位性のためにはスキルより「人間力や組織文化」が重要と認識
・今後の成長戦略……コンサルタント数×稼働率×平均単価を向上させる
・上場の狙い……採用においてより優秀な人材の採用 

分析

 市場関係者によると次のように分析がなされています。(複数のアナリストのコメントを要約しています。)

・株価の初値200億円で最大規模の上場
・ベイカレクローンの会社(ベイカレント社の出身者が独立して設立された会社)
・ノースサンドが伸びている理由
 1.IT×DX領域……成長市場、プロジェクトの規模1~2年
 2.ノースサンドの採用……ノースサンドのカルチャーを作って組織を大きくした。みんなイキイキしている。良い人ばかり爽やか。

・上場を目指す理由
 1.社格、ネームバリューがつき候補者は安心する
 2.資金調達……採用に資金を回せる、サービスに対する投資ができる
 3.ITコンサルティングは定型的な業務が多く、残業管理しやすい

・ノースサンドはどんな人に合うか
 1.ITDXに携わった方
 2.PMO……色々なベンダーを束ねてプロジェクトの成功を導く
 3.人柄……前向きな人

10年で急成長して市場へ上場できた要因として、人間力を挙げています。 

考察

ノースランドの上場できた要因やエンゲージメントが高い要因は、上記の分析で述べている“愛嬌のある人材の採用による人間力”が核心ではないと私は考えます。(もちろん要因の一つであることは間違いないですが)むしろ愛嬌のある人材を採用した後の受け入れ側であるマネジメント層の部下との接し方にあると見立てます。当該企業では、「尊敬・感謝・謙遜」を標榜しています。上司と部下間のコミュケーションにおいて上司側が「尊敬・感謝・謙遜」が一定程度出来ていることが要因であると考えます。

  1. 尊敬:部下の意見や努力を認め、価値を伝える
  2. 感謝:日常の小さな貢献にも感謝の意を示す
  3. 謙遜:自分の過ちや弱さを認め、共に成長を促す姿勢

10名ほど当該企業の管理職インタビューの動画を拝見しました。特に、会社のアンバサダーに任命された方の最も印象的だった発言は、
アドバイスはしますけどね、部下を叱ることは無いですね。

「尊敬・感謝・謙遜」の反対は「軽蔑・不満・傲慢」です。たとえ言葉として「尊敬・感謝・謙遜」であったとしても、発信者の気持ちの中に「軽蔑・不満・横柄」があると、それが表情や声色として現れ、相手に無意識に伝播します。

  1. 軽蔑:上から目線の言葉
  2. 不満:出来ていないことの指摘
  3. 横柄:高圧的で尊大な態度

動画を拝見させていただいた管理職10名の方は、「尊敬・感謝・謙遜」を一定程度実践出来ていると見受けられました。

マネジメント層が「尊敬・感謝・謙遜」を実践出来ているか否かで決まる

ノースサンドは一定程度「実践出来ている」ことが、「ベストモチベーションカンパニーアワード2025」中堅企業部門(1,000名以上)において1位獲得した要因であり、創業10年で上場できた要因の一つでもあると考えます。

まとめ

エンゲージメントサーベイの結果を受けて、上司と部下間のコミュニケーション強化といった施策が挙げられますが、どのようなコミュニケーションを図るべきかが明確になっていない場合が多くあります。また、明確になっていたとしても実践できていないことがほとんどです。

 「尊敬・感謝・謙遜」とは何をすることなのか、例示します。

・部下の強みに着目し活かす
・部下に自己効力感を持たせる
・部下の誤りを指摘せず、間接的に注意を与える
・自分の過ちを話し、部下の顔を潰さない
・部下のやったことに対しねぎらいの言葉をかける
・僅かなことでもほめ、期待の言葉をかける

もし、エンゲージメントが向上しない、部下が動いてくれないと感じている方は、是非、自己点検してみてください。

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