2015年、国連本部でのサミットにて、「2030年までに達成すべき国際社会共通の17の目標」が掲げられました。Sustainable Development Goalsと名付けられた目標は、略してSDGsと呼ばれています。世界で注目され始めたSDGsですが、経営に関係するのかいまいち理解しかねるという方もいるでしょう。本記事では、SDGsと経営との関係や企業の取り組み例などをメリットと共に紹介します。

世界の課題に取り組む前向きなSDGs経営

SDGsで達成を目指している課題は、17の目標の下に169のターゲットが紐づけられています。中には働きがいや経済成長についての目標項目もあり、経営もSDGsに関係していると何となく意識できる構成です。実は、各項目を見てみると、働きがいや経済成長についての目標以外にもほぼすべてが経営に関係していることがわかります。経営者がSDGsの各目標に貢献できることは想像以上に多く、SDGsに取り組むことは世界の課題に積極的に向き合う経営をしていると解釈できるのです。

世界が協力すべきSDGsの課題に率先して取り組む企業経営は、SDGs経営と呼ばれることもあります。社会的なイメージもアップし、ビッグビジネスをつかみ得るチャンスです。SDGsに向けて舵を取り直すことで新たな方向性を見出し、ビジネスの希望につなげる企業も出てきています。無視しては通れないSDGsに経営面でどう取り組むか、真剣に向き合うことでやりがいのある選択肢が増えてくるでしょう。

SDGs経営に取り組むメリット5選

経営者がSDGsに取り組むメリットは、多数あります。中でも際立っている5つのメリットについて、紹介します。

SDGsはビッグビジネスのチャンス

経済産業省では、2030年までにSDGs達成に向けて年間12兆ドルもの経済価値が誕生するとの予測を発表しています。世界規模での予測ですから、経営者にとっては未来のビッグビジネスのチャンスであると同時に世界に飛躍するチャンスでもあります。新規事業をスタートしたり、新たな取引先や顧客を得たり、幅広い方面に期待を持てるまたとない機会です。

SDGsをコミュニケートする媒介になれる

SDGsに取り組む企業は、SDGsと他の企業や個人などとの仲介者となれます。全世界共通の目標のため、SDGsにはいち早く取り組んだほうが注目してもらいやすいのがメリット。自治体やNPOなど各方面と個人を結びつけるなど、コミュニケーションの媒介ツールとして活躍可能です。

利害関係者から信頼を得やすい

株主をはじめ、従業員や顧客、行政など、様々な利害関係者から信頼を得やすくなるのもSDGsと経営を関係づけると良い理由です。特に、環境問題や雇用問題、ジェンダー平等問題などは、ニュースに取り上げられることも多い話題。こうした問題に取り組んでいる企業と認知されることで、サービスや商品への信頼度がアップしたり、資金調達面で有利になる可能性が出てきます。

企業のイメージアップになる

SDGsを掲げて経営することは、企業のブランドイメージアップにもつながります。欧米では当然にもなりつつあるSDGs経営に国内企業として率先して取り組めば、グローバルな感覚の企業としてもブランディングが可能です。未来に希望を持てる企業として優秀な人材の獲得もしやすくなり、企業の成長にもつながります。

SDGsに貢献する企業へのESG投資が重視されている

環境(environment)・社会(social)・ガバナンス(Governance)を頭文字にしたESG投資が、世界的に重視されてきています。SDGs経営に取り組んでいる企業はESG投資を受けやすくなるため、資金調達しやすくなるのがメリットです。

国内企業のSDGs取り組み事例

欧米ではSDGsに取り組む企業が増えるスピードが早く、他社に追いつけ追い越せの勢いがあります。日本の国内企業も、よりビッグなビジネスチャンスを成功させるためには、世界に負けないようにSDGs経営に取り組むことが重要です。国内でSDGs経営が注目されている企業の取り組み例について、見ていきましょう。

CO2削減目標を達成させたヘルスケア事業で有名な企業

ヘルスケア事業をはじめとした各種事業で日本を代表する企業では、会長自ら率先してSDGsのリーダーシップをとっています。経営計画に反映させたSDGsへの取り組みは、温室効果ガスの排出ゼロ宣言やCO2削減目標達成に顕著です。大きな目標を掲げるだけでなく、目標達成を実現させている点も注目されている理由です。

環境と人権に配慮した活動をおこなうアパレルメーカー

紳士・婦人服の大手アパレルメーカーでは、環境に配慮した商品作りを目指してリアルファーの使用禁止やビニール製ショッピングバッグの廃止に取り組んでいます。原材料の調達や製造現場における人権に配慮し、社外の協力も仰ぎながらの取り組みが注目されています。

消費者の利便性に配慮したSDGsに取り組む化粧品・日用品メーカー

化粧品と日用品を取り扱う大手メーカーでは、SDGsの目標のうち「海の豊かさを守ろう」に着目。プラスチック使用料削減を目指し、容器の工夫や詰め替え用品を推奨しています。すでに、プラスチック使用料は70%を超える削減量を達成。100%リサイクル可能なプラスチックの使用にも取り組み始めています。消費者の利便性に配慮しながら目標を達成している点も、高い評価を受けている理由です。

幅広いSDGsチャレンジに取り組む自動車メーカー

SDGsへの取り組みをテレビCMでも発表している自動車メーカーでは、SDGsへのチャレンジ精神が注目されています。「環境チャレンジ」と銘打った取り組みは6つの分野にまたがり、電動自動車の開発にも注力。世界販売台数がトップクラスのメーカーだけに、世界からの注目度も高いSDGsへの取り組み姿勢です。

企業がSDGsに取り組むときの注意点

経営にSDGsを関係づけたいとき、注意しておきたいポイントがあります。

経営理念と一致させる

経営理念とSDGsがかけ離れていると、信頼されないばかりか自社内でも活動にゆがみが生じてきます。戦略の方向性を見直しながら、SDGsへの取り組みと経営理念を一致させることが重要です。

社会的にも経済的にも価値ある企業を目指す

従来は両立しないことが当たり前とされていた社会的価値と経済的価値の両立が、SDGsへの取り組みでは目指すべき課題となっています。例えば、国内企業の取り組み例で紹介した、消費者の利便性を損なわないようにプラスチック使用料削減目標を達成した化粧品・日用品メーカーなどが良い例です。いかに社会的価値と経済的価値を両立させるかが、やりがいのある大きな課題でもあります。

SDGsウォッシュに要注意

SDGsへの取り組みが見せかけだけという企業を欧米ではSDGsウォッシュと呼んでいます。企業批判を意味するほどの強い言葉で、意図していなくても見せかけのSDGsと思われないように注意が必要です。見せかけのSDGsとは、SDGsを宣言しながら実態が伴っていないこと。課題をクリアしている企業の評価の高さからもわかるように、SDGsウォッシュと見なされた企業への批判も相当なものになってしまいそうです。

社内全体で目標を一致させる

経営層だけがSDGsを叫び、社内では白けムードという状況ではSDGsが成功しないばかりか社会の信用度まで落としかねません。社外にSDGsを発信するだけでなく、社内全体にもSDGs経営の精神を根付かせることが重要です。従業員1人1人が目標を達成しようという姿勢になることで、SDGs経営成功への未来が開けてきます。

社内全体でSDGs経営に取り組みビッグチャンスを成功に導こう

SDGs経営への取り組みは、ビジネスにおける大きなチャンス。加えて、社会的に高い評価を得るチャンスでもあります。SDGsは世界が共通とする目標ですから、注目を集めるきっかけは国内にとどまりません。経営層としてSDGsに取り組む決断をしたら、社内全体でしっかり共有して目標を一つに立ち向かえるよう、実行していきましょう。

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