マネジメントバイアウト(management by out)とは、経営陣が既存の株主から事業を買収する手法のひとつだ。頭文字をとって「MBO」と略される。経営陣が、金融機関からの融資や投資ファンド等からの出資によって買収会社を設立し、元の会社から株式を買い取り経営権を取得、買い取った会社と買収会社を合併させて新会社を設立するという流れだ。
MBOをおこなうことで、株主の短期的な収益志向から脱却し、中長期的な視点で抜本的に会社を立て直すという狙いが大きい。
MBOのメリットとデメリットは以下のとおりだ。
■メリット
・親企業にとっては、売却資金を使って本業の建て直しを図ることができる
・雇われ経営者からオーナー経営者となるので、経営に対する責任感が一層高まる
・後継者がいないオーナー企業の創業者は、自分の意思を継いでくれるような幹部に事業を譲渡することが可能となる
・現経営陣が大株主になることから、経営方針や雇用方針がそのまま継続できる
■上場廃止するメリット
・被買収のリスクを回避できる
・短期的な株主の利益に惑わされることなく、中長期的な経営戦略による企業経営ができる
・IRや情報開示をする必要性がないので、企業秘密を保持したまま経営ができる
■デメリット
・離脱した元の企業グループ内での取引がなくなる可能性がある
・元の企業グループから離れることで知名度が低下する恐れがある
・株式公開買付の場合、経営陣が買収側に立つため買付価格が意図的に低く設定される可能性があり、株主の権利を大きく侵害することがある
・非株式公開にすることで経営に対する監視機能が低下する恐れがある