専ら派遣とは、派遣事業者が労働者を特定の一社または複数者に限定して派遣することであり、労働者派遣法で禁止されている違法行為だ。たとえば決まった派遣先以外の会社からの派遣依頼を断っていたり、顧客獲得の営業活動をしていなかったり、明らかに特定の企業にのみ派遣していると場合には専ら派遣とみなされる。
専ら派遣が禁止される理由は、労働力を提供するためだけに存在する会社が生まれ、労働力の独占に繋がるためである。また、派遣会社に登録する人々の正社員化などの雇用機会を奪うことにもなりかねない。
ちなみに「専ら」とは「他は差し置いて、あるひとつのことに集中する様子」という意味だ。
専ら派遣の判断基準はつぎの3つである。
1)定款の事業目的に、専ら派遣であることが記載されていた場合
2)派遣先を広げるための営業活動や宣伝活動を行っていない場合
3)特定の派遣先以外からの派遣依頼を理由もなく断っていた場合
ただし、60歳以上の定年退職者を派遣労働者として雇い入れ、その割合が派遣労働者全体の3割以上を占める場合は、専ら派遣が認められるという例外もある。
なお、専ら派遣とみなされた場合は会社事業の目的や内容を変更することを勧告される。それでも是正が認められない場合は、事業停止命令や許可取消処分が下されることになる。