「す」から始まる人材マネジメント用語一覧

この記事では「す」から始まる人事・人材マネジメントに関する用語を中心に採録しています。

垂直的評価

垂直的評価とは、上司が部下を評価することである。部下から上司を評価することも意味としては含まれる場合もあるが、上司から部下を評価する場合として使われることが多い。多くの企業では、日常部下に対して仕事の割当や指導と育成、および監督するのが上司の役割である。従って、評価方法としては上司が部下を評価する方法が一般的である。

しかし、垂直的評価は上司から部下という一方的な評価であるため、上司の評価者としてのスキルに依存する点が大きいものとなってしまい、評価者のスキルのばらつきにより評価結果が異なるなどといった事象も生じてしまう。そのため、近年、上司のマネジメント力の向上や客観性を担保することを目的に、複数の視点を入れた評価方法などを導入する企業が増えている(水平的評価や360度評価等)。

垂直的評価を適切に運用していくには、明確な評価基準や評価者のスキルを担保することが必要となる。そのため、評価制度の見直しや評価者のスキル向上のための研修を行う企業も多い。

水道哲学

水道哲学とは、松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助が提唱した経営哲学だと言われている。水道の水のように安価ですぐに手に入るものは、生産量や供給量が豊富であるという考えから、商品を大量に生産・供給することで価格を下げ、人々が水道の水のように容易に商品を手に入れられる社会を目指すという考えのこと。

水平的評価

水平的評価とは、組織内で被評価者と同等の階層の者が被評価者を評価することである。評価者と被評価者の組織内での階層が同等であることが前提となる。多面評価の一環として行われることが多く、単独での評価方法として使用されることは少ない。あくまで垂直的評価を補完することが目的となっている。水平的評価が単独で使用されない理由としては、以下のようなことが挙げられる。

  1. 被評価者と評価者の関係は、業務上での関与が断片的であるため、適切な評価につながりにくいということ
  2. 評価の仕組みがもつ被評価者の育成や上司のマネジメントという目的を達成しがたいということ

また、水平的評価が垂直的評価の補完として使用される理由としては、以下のようなことが挙げられる。

  1. 水平的評価では、垂直評価で上司が把握出来ていない業務上での成果を組織内の同等な立場の人から評価できること

水平的評価を行う際には、被評価者に対して評価者の対象者の範囲を明らかにすることが求められる。その理由としては、被評価者が自己の業務への関与が全くない人を評価することによる評価エラーを防ぐためである。

スカンクワーク

スカンクワークとは、社員が本来やるべき業務以外の自主的活動をいう。社員に業務外の自主的活動を自由に行なわせることで、新規事業の芽を見出したり、イノベーションが生まれたりすることを狙いとしている。スカンクワークの語源は、米ナビスコ社の製品開発スタッフが、スカンクの絵柄のTシャツを着て私的研究に没頭した結果、会社に利益をもたらしたことに由来している。

このTシャツを着ている日は、他者は彼らの活動の邪魔をしてはいけないというルールがあった。近年、社員が創造性を維持し、事業の発展に活用したい企業では、このような取り組みを効果的に用いており、大手IT企業等では、社員に就業時間の2割程度の時間をスカンクワークとして費やすことを認めている。

スキャロン・プラン

スキャロン・プラン(Scanlon plan)とは、米国のJ.N.スキャンロンによって提唱された成果配分に対する考え方のことを指す。労働者の努力によって労働生産性が向上し、企業業績が向上した場合、生産性向上による人件費の節約額に応じて奨励金を労働者に配分するといった、売上高(生産性)にリンクした成果配分方式のこと。

スキルズ・インベントリー・システム

スキルズ・インベントリー・システム(skills inventory system)とは、従業員個々人に関する社内職歴、人事考課、昇進昇格、研修履歴、将来の希望などの記録・管理をコンピューターを使って行うこと。人員計画、人材選定、配置、異動など人事管理全般にわたって活用する。

スケールカーブ

スケールカーブ(scale curve)とは、企業の生産規模に比して、1単位あたりの生産コストが軽減されていく状態を図示したカーブである。グラフとしては、X軸に累積供給量、Y軸に1単位あたりのコストをとり図示する。

規模の経済が働く業界などで、生産規模の大きい順、すなわちコストの低い順に並べていくことで、市況がどれくらい変化すればどのレベル以下の企業が赤字に陥ってしまうか(コスト削減圧力にどこまで耐えることができるか)を判断する手法などに活用されている。主に規模の経済が働きやすい生産業などで活用されるケースが多い。代表的なものに紙パルプ業界や化学工業などがある。

スケールカーブを活用する局面としては以下のようなものがある。

  1. 市況を読んだM&A戦略(合併統合によるコストポジション改革等)への活用
  2. 業界内でのコスト競争力比較を行い原価低減に取り組む際に活用

ステークホルダー

ステークホルダー(steakholder)とは、企業の経営行動などに対して直接・間接的に利害が生じる関係者(利害関係者)のことをいう。具体的には、株主、消費者(顧客)、従業員、得意先、地域社会などが挙げられる。ステークホルダーが注目されるようになった背景には、企業間での持ち合いの解消などによる安定株主の減少や利益のみを追求する経営者による不祥事の発生等による企業価値逓減などコーポレートガバナンスを図る役割を期待されたことなどが挙げられる。

現在、企業のグローバル化などより、ステークホルダの対象が地理的・領域的にも大きく広がってきている。従って、企業においても、株主に向けた従来のIR活動だけでなく海外なども含めた広範囲なIR活動や既存株主といった狭義のステークホルダのみならず潜在的なステークホルダーに働きかけることが求められている。加えて、ビジネスを支える従業員、得意先などに対しても利害を共有するものとしての取り組みが求められるようになってきている。(広義のステークホルダに対する取り組み)上記のような取り組みの一例として企業によるCSRへの取り組みなどが挙げられる。

ストックオプション

ストックオプション(Stock Options)とは、会社が取締役や従業員に対して、予め定められた価額(権利行使価額)で会社の株式を取得することが出来る権利のことを指す。ストックオプションが付与された取締役や従業員は、将来、株価が予め定められた価格(権利行使価格)を上回った場合、権利を行使して株式を取得し売却することによって、権利行使価格からの価格上昇分を利益(報酬)として得られる。

このため、ストックオプションを付与された取締役や従業員は、株価上昇への関心が高まり、業績向上へのインセンティブが働く。会社にとってのメリットは、オプションの公正な評価額を費用として計上するが、株価上昇することによって社員が受け取る利益(報酬額)が増加しても、会社としてのコストは変わらないこと。また、権利行使期間の設定により、社員は行使可能になるまで勤めなければ権利を失うことになるので、優秀な社員に付与することで、中長期的なリテンションを促すことが出来ることなどが挙げられる。

一方、デメリットは、ストックオプションによる多額の金銭的報酬だけに魅力を感じている取締役、従業員が株式公開後に、利益(報酬)を得て組織から退職していくこと。また、ストックオプションの付与後に、株価が低迷し、期待していた利益(報酬)が得られないという失望感によりモチベーションが低下することなどが挙げられる。

尚、社員において、オプションを行使するのに必要なコストが手元資金を超える場合(行使価格と株式付与数の設定次第では多額のコスト負担となる)、資金調達が必要になるという不都合がある。

ストライキ

ストライキ(strike)とは、労働者が使用者に対して団結して労働力の提供を拒否すること。正当な争議行為であれば、労働契約上の債務不履行責任を免れる。

スピン

スピン(SPIN)は、1988年にニコール・ラッカム氏によって“MAKING MAJOR SALES”で発表され、日本でも1995年に同書の日本語訳版が『SPIN式販売戦略』のタイトルで出版され広く認知された。

いわゆる「クロージング技法」では効果を発揮しない、複雑・高額商品に効果的な営業手法といわれている。SPINは顧客に様々な質問を投げかけながら意思を確認していくコミュニケーション方法であり、各質問の目的は以下である。

  1. S:状況質問(Situation Question)=状況質問で顧客を理解する(顧客の状況を把握する)
  2. P:問題質問(Problem Question)=問題質問で潜在ニーズを明確化する(顧客に問題を気づかせる)
  3. I:示唆質問(Implication Question)=示唆質問により問題の重要性を認識させる(問題の大きさを認識させる)
  4. N:解決質問(Need-Payoff Question)=解決質問でニーズを自覚するようになる(理想のあるべき状態をイメージさせる)

まず顧客の客観的事実を聞く質問(①)をし、次に顧客の不平・不満を質問(②)する。そして顧客に新たな発見を促す質問(③)をし、最後に顧客が提案を受け入れる質問(④)をすることによって相手の潜在的なニーズを顕在化させ、課題を明確化していく手順である。

この手順で最も重要なのは、顧客に語ってもらい、売り手は聞き手に徹することである。売り手の言いたいことを顧客に語ってもらうことが求められるのである。そのうえで、“笑顔”や“うなずき”によってコミュニケーションをとり、自分売り手からの質問はできるだけ短く、「どうして?」など「Yes」「No」では答えられない質問をすることによってより多くの情報を入手できる。SPINをマスターするためには、質問のスキルと同時に傾聴のスキルも重要であるといえる。

スピンアウト

スピンアウト(spinout)とは、企業から事業を分離させることや独立させることを指す。特定の事業や部門を独立させることで、会社全体の効率を高めることを目的とする。

スピンオフ

スピンオフ(spin off)とは、大企業において社員がもつビジネスアイデアなどを事業化、資金の支援などにより一企業として独立・子会社させることで事業展開を行うことである。
元々、大企業などではビジネスアイデアが優れた内容であっても想定される市場がニッチであったり、競争が激しく収益化が見込めないと判断されたものは、事業化されずに埋没してしまっていた。
しかしながら、変化の激しい市場環境の中で、企業は業績向上に向けて、現有経営資源の有効活用も求められるようになった。その中で企業は、これまでの判断では収益化が難しいとされるものであっても、優れたビジネスアイデアやビジネスモデルに着目し、ビジネスアイデアやビジネスモデルの資金面等の支援を行い、事業化を図っている。

一企業として独立・子会社化することによる、意思決定プロセスの短縮化による迅速な意思決定の実現ができることに加え事業展開も子会社独自で柔軟に行うことが出来るといったメリットがある。スピンオフと似たような意味として、スピンアウトがあるが、スピンアウトは、資金などの支援を受けずに独立して事業展開を行うことである。

図式尺度法

図式尺度法とは、人事考課の方法の1つである。「信頼性」「知識度」といった評価要素を要素毎に段階評価の基準を設定し、該当箇所をチェックしていく方法である。評価の目盛りは、5~7段階が適切であるといわれる。評価の段階は多い場合、少ない場合それぞれに利点欠点がある。

評価の段階が多くなれば、1段階単位での達成状態が細かく設定されるため、細かい差を設定できるメリットがある半面評価の1段階の差が何であるかわかりにくくなる。
例)達成率 80%・79%・78%・76%・・・といった場合の1%の差を示しにくい

評価の段階が少ない場合には、評価の1段階の差が明確であるために評価者は評価しやすいが一方で、1つの段階引き上げる/引き下げるには大きなハードルとなるために、結果として中央化傾向を引き起こしやすい。
例)達成率100%・50%・0%などとした場合、50%に集中する

図式尺度法のメリットとしては、視覚に訴えるため評価者及び被評価者が理解しやすいこと、また評価結果が自動的に数値に換算できる簡便性などが挙げられる。一方、デメリットとしては数値で換算できるため、結果値より逆算をして各項目の評価をする逆算化傾向が発生することが挙げられる。

(例えば、被評価者Aさんを順当に評価した場合65点となったが、最終的に70点にしたいので、逆算して各項目の値を調整する)

そのデメリットを改善するためには、各項目の評価の観点を明確にする、あるいは、目盛りにある達成状態を明確にするなど評価基準を明確にするとともに、評価者トレーニングによって評価者の目線を合わせるといったことが必要である。

お知らせ
お役立ち情報①

【人事のプロが語る、本音のコラムを公開中】

人事を戦略に変える専門家たちが様々なテーマを解説し、"どうあるべきか"本音 で語っている記事を公開しています。きっとあなたの悩みも解消されるはずです。

お役立ち情報②

【お役立ち資料を無料ダウンロード】

基礎的なビジネスマナーテレワーク規定、管理職の方向けの部下の育て方評価のポイントまで多種多様な資料を無料で配布しています。ぜひご活用ください。

おすすめの記事