
この記事では「に」から始まる人事・人材マネジメントに関する用語を中心に採録しています。
二重就労(副業・兼業)
ある企業に就労(雇用)されていながら、他の職場で就労すること。時短や週休2日制、ネットの発展、就労形態の多様化等により、副業として正規の就労以外の労働を行うケースが増加している。
かつては多くの企業で副業・兼業を規制しており、厚生労働省が出すモデル就業規則でも「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」との記載があったが、2018年1月に改定された「モデル就業規則」では、原則容認する旨が記載されている。
近年は、労働者の労働ニーズの多様化に対する対処、潜在的なキャリア開発の誘発、残業時間の減少(生産性向上)による賃金(手当)の減少に対する対策、新規ビジネスの創造の機会創出などの側面から、副業に寛容な企業が増加している。
二重派遣
派遣元事業主A社から受け入れられている派遣労働者を、派遣先B社が更に他の事業主C社に派遣し、業とすることを指す。
職業安定法第44条では労働者派遣事業ではない形での労働者の供給を禁止している為、『二重派遣』は同条項の違反にあたる。
この際罰せられるのは、労働者を二重に派遣した派遣先B社と労働者の供給を受けた二重派遣先C社となる。
職業安定法第44条の違反により罰せられる場合は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が適用される(職業安定法第64条)。
職業安定法第44条はあくまで派遣契約の場合にのみ適用されるため、抜け道として『偽装請負』と呼ばれる「請負契約」の形式により、二重派遣が行われているケースは多い。
※偽装請負とは労働の実態が人材派遣であるにも関わらず、契約上「労働者派遣契約」ではなく「請負契約」の形式をとることをいう。
二重派遣は雇用責任の所在が不明確であることから、労働者が給与支払いの遅延や不当な賃金引下げ等の厳しい労働環境下に置かれることが多くある。
日給月給制
日給月給制とは、月給が日給の積上げで算定され、支払われている給与の仕組みのこと。日給をベースに月換算で賃金は決定され、支払うように設計されている。欠勤した場合には、月換算で決定された賃金から、欠勤日数に応じて減額する(平均月間稼働日数から欠勤日数を控除して月の賃金を算出する)。法定労働時間超過分の割増賃金は時間に応じて支給し、その他所定の休日や休暇などは減額対象とならない。
日給制
日給制とは、1日を単位として金額を定め、出勤した日数に応じて賃金を支給する制度。日給制度の賃金は、日・週・月のいずれかの単位で支給される。労働者にとっては、出勤した日数に応じて賃金が支給されるため、欠勤・遅刻・早退が発生しても、月給額に影響が無い月給制に比べて賃金が不安定である。
現在は、多くの企業で月給制(完全月給制・日給月給制)が一般的になりつつあるが、アルバイトやパートタイマー等の非正規雇用者や日雇い労働者には日給制が適用されるケースも多い。月給制のように一括で多額のキャッシュアウトを伴うことがないために、中小企業や零細企業等で活用されているケースもある。
また、野外で天候に左右される労働環境下(悪天候時には作業を中止する等)で労働をさせることが多い企業では、無用なコストの発生を抑えるために、日給制を取り入れている企業もある。日給制以外の賃金の支払い形態は、日給月給制・月給制・週給制・時間給制などがある。
労働政策研究・研修機構(JILPT)
労働政策研究・研修機構は、平成15年10月に日本労働研究機構と労働研修所が合併して作られた厚生労働省所管の政府機関である。労働・労働政策に関する調査・研究・情報収集を行い、それらの結果を基に、厚生労働省の関係者に対して研修を行っている。また、海外の研究機関と協力し、グローバルな目線から労働に関する研究を行っている。
入学要件
主に昇進・昇格において用いられる用語で、上位役職・等級に昇格させるための判断基準のひとつ。主に、「上位役職・等級の責任・権限を担うことができるか」、といった観点で判断する基準である。
アセスメントや保有資格、経験、評価結果、業績指標など様々なものが基準として考えられるが、各企業、あるいはその仕事に合致したものが設定される。
入職率
入職率とは、全労働者に対する新たに就業した労働者の割合のことである。よって入職率は以下の式から算出できる。
入職率= 増加労働者数/年初の全労働者数×100
入職率は国単位、産業単位、企業単位などが対象となり、雇用情勢を理解するための一つの指標となる数値である。
入職率の値によって以下のようなことが想定される。入職率が上昇している場合、企業が積極的に採用を行ってる状態であることが想定される。入職率、離職率がともに高い場合、人材が定着しづらい状態になっていることが想定される。なお、平成21年上半期の入職率・離職率は以下の通りである。
入職率:9.3%(8.7%)・入職者:410万人(390万人)
離職率:9.6%(8.2%)・離職者が423万人(371万人)
※( )内は20年度における同時期の数値である。
任意退職
労働者の意思にもとづく労働契約の解除をいい、労働者の一方的意思による自己都合退職、労使の合意がそれにあたる。民法では、労働契約に期間の定めがない場合はいつでも任意退職の申し出を行うことが認められており、任意退職の申し出後、原則として2週間で退職の効果が生じるとされている。