
この記事では「ふ」から始まる人事・人材マネジメントに関する用語を中心に採録しています。
5フォース分析
5フォース分析(Five Forces Analysis)とは、バーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター教授によって開発された業界の収益分析のためのフレームワークのことを指す。
業界を5つの要因(five force)でモデル化し、その5つの要因について分析することでその業界の収益性や魅力度を明らかにする。5つの要因が与える業界への力が強ければ、その業界において収益を稼ぐことは困難であり脅威となる。また逆に力が弱ければ機会となる。
5フォース分析は、経営者が競争戦略策定において効率的に自社にとっての機会、脅威を把握すること等に活用される。
業界の収益性を規定する5つの要因は以下の通りである。
- 新規参入の脅威の大きさは、参入障壁の高さを示す。参入障壁が低い場合は業界内のプレイヤー数が増え競争が激化し、企業の収益性が低下する可能性が高くなる。参入障壁には、規模の経済性の有無、既存ブランドの強さ等が挙げられる。
- 業界内の敵対関係の強さが大きければ、業界内の競争が激しくなり企業の収益性が低下する可能性が高くなる。敵対関係の強さを決定する要因として業界内のプレイヤー(競合)の数、規制の有無等が挙げられる。
- 既存製品・サービスに比べて価格性能比に優れた代替品が存在する場合には、既存商品から代替品への切り替えが起こり、企業の収益性が低下する可能性が高くなる。
- 買い手の交渉力が強ければ、価格引下げ圧力によって企業の収益性が低下する可能性が高くなる。買い手の交渉力の大きさを決定する要因として、買い手の寡占度、スイッチング(切り替え)コスト、ブランド力の強さ等が挙げられる。
- 売り手(供給業者)の交渉力が強ければ、原料等のコストアップ要因となり企業の収益性を低下させる可能性が高くなる。売り手の交渉力の大きさを決定する要因として自社の重要性、スイッチング(切り替え)コスト等が挙げられる。
- 新規参入の脅威
- 業界内の敵対関係の強さ
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
ファジー理論
ファジー理論(fuzzy theory)とは、人間のもつ主観的な不正確さを数学的にあらわした理論のこと。
従来は、この技術を応用して制御開発等を日本を中心として行ってきたが、昨今では、この技術を経営の中に応用する企業が増えている。必要以上に制度や組織を厳格にせず、むしろ曖昧さを残していくもの。
ファシリティ・マネジメント
ファシリティ・マネジメント(facikity management)とは、所有する設備を有効的に管理・運用をすることを狙いとする経営手法こと。
自社が持つコンピューターシステムの管理・運営を外部の専門会社に委託し効率活用することに由来している。
ファシリテーション
ファシリテーション(facilitation)とは、企業や学校、地域のコミュニティなどの組織の会議などでグループ活動が円滑に行われるように、中立的な立場から支援を行うこと。またはそのための手法や技術のこと。その役割を担う人はファシリテーター(facilitator)と呼ばれる。
1960年代~70年代にかけて、教育やビジネスの分野でグループによる学習や会議を効率的に運営する手法としてアメリカで開発され、応用されてきた。日本でもQC活動や地域のコミュニティ活動などで独自に進化していたが、スキルとして認識はされていなかった。
ファシリテーターは必要に応じて会議のプロセスを管理し、内容を深めるように支援を行うが、基本的は議論自体に参加することはない。
フィージビリティスタディ
フィージビリティスタディ(Feasibility Study)とは、事業(新規事業、新商品・サービス等)の実行可能性・実現可能性を検証することを指す。プロジェクトマネジメントにおけるプロジェクト計画前の予備調査を指すこともある。
実施時期として、事業やサービスを展開する計画策定に対して意思決定を行う前段階に行うことが一般的である。
調査・検証する項目としては、費用対効果調査、技術調査、特許調査、コスト計算、利益予測、等がある。
フール・プルーフ
フール・プルーフ(fool proof)とは、工場などの機械設備について、操作方法に熟練していいないものが操作することによって起こる誤作動や機械そのものの異常・故障などが発生しても危険な状態に陥らないようにする安全装置のこと。
たとえば機械などでの作業中に作業者が意識を失ったりした場合、機械のスイッチが自動的にオフになり回路が開いて茶道停止する機能などがあたる。
フェール・セーフ
フェール・セーフ(fail safe)とは、機械設備のコンピューター回路などが故障した場合に、災害の発生を防止し、安全を確保するように設計された機構のこと。
NC旋盤などの自動機械で、ドアを開くとコンピューター内の電気回路が開いて、内部の機械が停止するようになる仕組みなどがあたる。
フェスティンガーの認知的不協和理論
米心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された考え方。認知的不協和が起きると不協和を低減する行動が起きるということ。
矛盾した2つの認知がある場合、その不協和を解消するために、比較的変えやすいほうの認知を変えて、協和している状態にしようとすること。
たとえば、自分のセンスで購入した商品について、友人が高く評価してた場合は、認知的協和の状態で問題がない。ただ、TVで批判されていた場合に、当該TVでの評価との食い違いが発生する(認知的不協和)。
付加価値
付加価値(Added value)とは、ある‘もの’が有している価値と、それを生み出す元となる‘もの’の価値との差のこと。
経済においては、売上高から原材料費や動力費、減価償却などの中間投入物を差し引いた額を指す
付加価値生産性
付加価値生産性(value-added productivity)とは、従業員一人当たりの年間付加価値額のこと。付加価値額/従業員数などで求めることが出来、企業の成長性や効率の高さなどを表す指標となる。
付加金
ここでいう「付加金」とは、労働基準法第114条に定める付加金を指している。
裁判所は、使用者が以下に該当する場合に、労働者の請求により、使用者が支払わなければならない金額について定めている。未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から2年以内に行わなければならない。
- 使用者が解雇予告手当を支払わないとき
- 休業手当を支払わないとき
- 割増賃金を支払わないとき
- 年次有給休暇の日の賃金を支払わないとき(労働基準法第114条)
復職
復職(reinstatemento)とは、ある職から離れていたものが職に復帰すること。企業において復職が行われるのは、休職中の労働者が休職の原因が消滅したことによって、あるいは休職期間が満了したことによって、職に復帰する場合などがある。
なお、労働委員会において、不当労働行為救済申請に係る解雇が不当労働行為であると認定された場合に、当該労働者を復帰させることを命ずる命令、すなわち復職の救済命令が出される。
複数評価法
複数評価法とは、複数の評価者によって評価を行なう方法のことである。単独評価を避けることで、評価の公正性や客観性が増すとともに、被評価者へ様々な角度からのフィードバックを行なうことが可能になる。
複数評価法の典型的なものに多段階評価制度がある。これは、1次評価は直属の上司が、2次評価は直属の上司の上司が、3次評価は部門の最高責任者が行なうというように縦の関係を重視するものである。
これに対し、縦の関係だけでなく、横や斜めの関係(他部門の上司、同僚、部下、取引先、顧客等)も取り入れたものが多面評価(360度評価)である。
複線型キャリアパス
従業員の専門性を高めることや、組織内に専門職者を形成することを目的に、組織内での職種や職務における昇格・異動の道筋が複数に分かれている仕組み。これらを盛り込んだ人事制度を複線型人事制度という。
従来は、管理職者(ライン長)として部下を持ち組織をマネジメントすることが、組織における唯一の道筋(キャリアパス)となっていた。しかし、昨今では専門職といった役割を設けることにより、いくつかの選択肢を与える企業が増えている。
複線型キャリアパスでは、キャリアに対する様々なニーズを持つ人材に対して、能力の伸長や発揮の場を与えることで、個々の従業員が保有する能力やニーズに合致したキャリアを形成させることが出来る。
複線型雇用管理
複数の職掌(総合職、一般職、事務職など)を設定し、賃金や昇進などの処遇を分けて雇用管理を行うこと。
複線型の雇用管理を行うことによって、採用から教育訓練、職務配置、昇格、昇進などを職掌別に設定することも出来る。
複線型雇用管理を実施する事により、人材育成や組織活性化、コスト削減などに効果がある。
複線型人事制度
企業におけるビジネスの多角化、複雑化、あるいは従業員の就労意識の多様化等を背景に、画一的な人事管理・人事制度を見直し、多様性を備えた管理のしくみを実現した人事制度のことをいう。
嘗ての日本的組織は、ラインマネジャーを頂点とするヒエラルキーによって成立する組織であったが、近年は組織のフラット化、モジュール組織化が進むとともに、従業員の専門志向と相まって、必ずしもラインマネジャーへの昇進を前提とした画一的な人事管理・人事制度が魅力的なものでなくなりつつあり、その代替のしくみとして導入する企業が増えている。
具体的には、ラインマネジャーへの昇格を前提としたキャリアパスのみでなく、専門職へのキャリアを実現する複線型のキャリアパスの整備や企業の様々な機能や役割・業務に呼応した職種を設定し、職種ごとの人材マネジメント(評価・処遇等)を実現することなどである。
また従業員の多様性を積極的に受けいれるため、設定した複数のコースを従業員に選択させる取り組みを行う企業もある(リテンションの一環として活用)。
服務規律
服務規律(service discipline)とは、企業における労働者が守らなければならない一定の規律のこと。
企業が適切に運営され、その目的を達するためには、そこに働く労働者の行動の規範となるべき経営秩序が必要であり、この秩序に従った一定の規律が維持されなければならない。
福利厚生
賃金など基本的条件とは別に、企業が従業員やその家族の福祉向上のために行う様々な施策のこと。
それらの施策に関して授業主が負担する費用を福利厚生費という。
不就業手当
通常の労働提供が無かった場合でも一定の率または額により支給される手当のこと。
休業手当や年次有給休暇中の給与が義務付けられているほか、法定外の休暇(夏季休暇等)の際に支給される給与などが当たる。
不当労働行為
不当労働行為(unfair labor practice)とは、労働組合や労働者が行う活動や行動(広義の組合活動等)に対して、使用者側が不当な扱いを行うこと、またそれらの活動や行動を妨害することを指して言う。労働組合法:第7条では、使用者がその優位な立場を利用して行う、労働者等に対する不当な扱いや妨害行為を規制している。
扶養控除
扶養控除(deduction for dependents)とは、税負担の調整を行うためも受けられている所得税控除の一つ。
納税者が生計を一つにして、合計所得金額が38万円以下の扶養親族を有する場合は、一定の所得税控除が受けられる。
扶養親族とは、①配偶者以外の6親等内の血族もしくは3親等内の姻族、②児童福祉法の規定による知事などから委託を受けた里子、③老人福祉法の規定による用語を委託された老人 のこと。
扶養手当
企業が行う福利厚生施策のうち、生活援護項目のなかのひとつ。
家族を含めた従業員の生活上各面にわけたる補助をしようとするもので、冠婚葬祭、ホームヘルパー経費補助などがある。
フラット組織
階層の少ない、あるいは階層のない平らな組織のこと。文鎮型組織とも言う。
階層の簡素化により、意思決定をより迅速化することが狙い。
管理階層が多いと、調整時間の無駄や責任の所在の不明確化、情報の歪曲化などが発生し、組織の効率性が損なわれるとの考えより用いられる。
フリーアドレス
フリーアドレスとは、個人に固定席を割り当てずに共有席(デスク、設備など)を用意し、社員は空いている席を使って業務を行うオフィス形態のこと。
空いている席で滞りなく業務を行うため、ITインフラ等の整備は必須である。
社外で仕事のすることが多い、コンサルティングファーム、システムインテグレータなどの企業で導入が進んでいる。
<メリット>
- 外回りや出張が多い部署やフレックスタイムの導入、在宅勤務を採用している企業は社員数より座席数を減らすことが出来る
- 保管できる対象が個人、部署のキャビネットに絞られるため書類や備品の溜め込みが解消される
- 紙媒体より電子媒体への転換を余技なくされるため、情報共有が推進される
- 部門を越えたコミニケーションの活性化
- ITインフラの導入により、社外からアクセスが可能となり帰社などする必要がなくなる
- オフィススペースの有効活用
- 整理整頓、無駄使いの削減
- 情報共有の促進
- 移動時間の削減、有効活用
<デメリット>
- 組織への帰属意識が低下
- 決まった場所に部下(上司)がいない
- 社外の人間がいても気づかない
- コミニケーションの不足、マネジメントの困難
- セキュリティー強化の必要性
フリーター
15歳~34歳の間で以下の2つの条件のいづれかに当てはまるものを指す。
現在就業している者は、勤め先における呼称がアルバイトまたはパートである雇用者で、男性については継続就業年数が1~5年未満のもの。また、女性については、未婚で仕事をしているもの。
現在無業の者は、家事も通学もしておらず、アルバイト・パートの仕事を希望するもの。
フリーター数は、2016年には155万人となり、前年(2015(平成27)年167万人)と比べて12万人減少となっているが、一方、若年無業者数については2016年には57万人となり、前年(2015年56万人)と比べて1万人増加となっている。
フリーライダー
フリーライダー(free rider)とは、組合の庇護の下にある事業所に勤務しながら、かつ労働組合員になれる資格があるのにも関わらず組合員に入らない者を批判的にいう組合用語。
組合が会社と交渉した末に手に入れた権利や恩恵を、組合に未加入であるため組合活動を全く行わない人材が、自動的に得ることができるため「ただ乗り」といった概念の言葉が用いられる。
不利益取扱
不利益取扱(disadvantageous treatment)とは、使用者が、労働者の組合参加や活動などを理由に、その労働者に対し不利益な取り扱いをすること。
労働組合法7条に類型化されている不当労働行為のひとつ。
フリンジ・ベネフット
フリンジ・ベネフット(fringe benefits/付加給付)
従業員に対して提供する賃金以外の給付・サービスのことをいう。主に福利厚生に関するもので、退職年金に対する事業主拠出、医療保険、歯科保険、生命保険、事業主建物内の給食施設、食券、娯楽施設、居住施設、低利貸付、商品券などの低価提供、従業員への贈与、教育費、自動車等
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度(flex-time)とは、1ヶ月の総労働時間数だけを決めておき、毎日の始業・終業時刻は労働者が自由に選択できる労働時間性のこと。
労働者にとっては私生活上の都合と労働時間との調整がはかれる一方、企業にとっても作業能率の向上が可能になるなどのメリットがある。
形態としては1日の労働時間を固定し、始業・終業の時刻を前後させる1日単位の方式と、週又は月を単位として1日の労働時間は伸縮できる方式がある。
また、必ず出勤しなければならない時間帯(コアタイム)を設定している企業も多い。
フロー型人材
フロー型人材とは流動的労働者であり、パートタイム労働者、派遣労働者、アルバイト、契約社員が主に当てはまる。
キャリアの多様化が進んだことにより、正規の従業員であっても3年で辞めてしまうなど、フロー型人材は増加傾向にある。しかし、その中には優秀な人材も含まれており、企業はそのような人材を定着、活用できるかどうかが重要な課題となってきている。フロー型人材を有効に活用するための解決の方向性として、以下のようなものが考えられる。
- 人材の短期戦力化
- 就業期間に関わらず正当な処遇を与える仕組みづくり
- 継続就業に対するインセンティブ
分散化傾向
分散化(極端化)傾向
人事評価時に評価者が陥りやすいエラーのひとつ。
中央化傾向と反対に、少しの差を必要以上に大きくして評価の良し悪しが二極化する傾向を指す(評価のばらつきが大きい)。
部下の能力や実績を把握しているという思い込みが強い、あるいは評価に差をつけて部下のやる気を高めようとすることなどが原因として考えられる。
分散化傾向は、人事評価時における評価内容の正当性との乖離を表現する際に用いられ、人事評価時に評価者が留意する事項として捉えられている。
分散化傾向の予防策としては、評価基準を十分に理解することが挙げられます。
不正受給者からの費用徴収
本用語集では、労災保険法における不正受給者からの費用徴収について述べる。
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することが出来る。
上記の場合において事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行われたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して上記の徴収金を納付すべきことを命ずることが出来る。(労災保険法12条の3)
偽りその他の不正手段とは、保険給付を受ける手段として不正が行われた場合、その全てが該当する。
保険給付を受けた者に限らず、虚偽の報告・証明をした者にも同様に徴収金が課せられる。また、実際に保険の給付を受けたものだけではなく、遺族も対象となる。
保険給付に要した費用に相当する金額は全額返還をするが、不正以外に正当な理由による給付額に関しては、通常通り支給しても問題ない。
歩合制
雇い主が労働者に、仕事の出来高・売上高など、成績に応じて賃金を支払う制度のこと。
自動車や化粧品などのセールス、保険の外交員などの給与に適用されるケースが多い。
物価スライド賃金
賃金を決定する際に、物価上昇にスライドさせる方式をとること。
ブルーカラー
ブルーカラー(blue collar workers)とは、生産現場で肉体を駆使して業務に従事する労働者の事を表す。
ブルーカラーの語源は、肉体労働に従事している労働者の制服や作業服の襟などが青系であった事が経緯となっているといわれている。
ブルーカラーの職場環境は、企業内の管理部門等に所属し企画・管理業務等を中心とするホワイトカラーと比較した際に、一般的に肉体的負担も大きく厳しい環境であり、業務に直接起因する労働災害の発生率も高い。
賃金水準においてもホワイトカラーに比べて低い傾向があり、ホワイトカラーに比較してブルーカラーの地位が低いイメージが確立してしまっている。
しかしながら、生産現場での労働環境の改善、加えて生産現場のハイテク化、技術の高度化が進み、生産現場においても以前のブルーカラーのイメージな変化しつつある。
ブレインストーミング
ブレインストーミング(brainstorming)とは、米広告代理店副社長アレックス・オズボーンによって開発された集団的思考の技術。自由な雰囲気で、他を批判せずにアイデアを出し合い、最終的に一定の課題によりよい解決を得ようとする方法。
既存の思考の殻を打ち破り発想するために、自由さを維持し楽しみながら行うことは必要となる。基本的なルールとしては、「質よりも量」、「他人のアイデアに耳を傾け、便乗してもよい」、「アイデアを評価、批判、コメントしてはならない」、「自己検閲を行わない」、「思い込みを捨てる」などとなる。
ブロードバンディング
ブロードバンディング(broadbanding)とは、資格・職務等級を細かいランクに区分せず、ある程度の範囲を同じ等級に括るしくみのことを指す。
等級の見直しや連動した賃金の見直しを図ることの煩雑さや賃金の減額等の社員への不利益の発生等が足かせとなり、社員に求める役割・責任の変化や異動等を柔軟に実現できないことを解消するために用いられる。
また大きく括ることで、設定される等級数が少なくなり、等級自体の違いが分かりやすくなり、シンプルで分かりやすい制度を実現できる。
ビジネスの変化のスピードが速まっていることに呼応して、組織や社員に求める役割・責任の変化のサイクルも短期化する傾向があり、近年導入される人事制度に多く用いられる傾向がある。
分権的組織
従来からわが国の多くの企業がとっている意思決定権限が上層部に集中している集権的組織に対する用語のこと。
経営規模の拡大、技術革新の進歩など経営環境の急速な変化に対応するため、分権的組織をとる企業が増加している。
文鎮型組織
官僚制組織のピラミッド階層を少なくして、文鎮のように平べったい組織にちょこんとツマミ(指揮する部門)がのっかている組織形態のこと。
例えば、公立校の教職員の組織がこれにあたる。
分類法
分類法(grande-description system)とは、職務評価方法のひとつで、あらかじめ職務の等級基準をつくり、職務を該当する等級基準と比較して格付けする方法のこと。
手続きや評価方法が比較的簡単であり、理解もし易いことから、この方法を採用している企業は多い。
PMO(ピーエムオー)
PMO(project management office) プロジェクトマネジメントオフィス/プロジェクト管理オフィス
企業などで、組織全体のプロジェクトマネジメントの能力と品質を向上し、個々のプロジェクトが円滑に実施されるよう支援することを目的に設置される専門部署である。
プロジェクトマネジメントオフィス設置の理由は、複数の部署に複雑に係わるようなプロジェクトを企業が多数保有するようになり、全体を俯瞰したプロジェクトマネジメントが重要視されるとともに、プロジェクトマネジメントの責任者を支援してプロジェクトを円滑に実施する必要性が高まったためである。
プロジェクトマネジメントオフィスの考え方は、1929年のアメリカのニューディール政策によるテネシー川流域開発事業の頃に誕生し、1990年代以降から本格的に導入されるようになった。
PMOは、個別プロジェクトに責任を持ち、プロジェクト終了に伴い解散するプロジェクトチームとは異なり、恒常的な部署として設置される。
PMOの主な役割として、①全社的なプロジェクトマネジメント手法の標準化、②品質管理、③人材育成等に責任を持つ。
PMOのその他の機能として、①複数プロジェクト間の調整、②ポートフォリオ分析、③個別プロジェクトのモニタリング等がある。
プランドハプンスタンス
「計画された偶発性」理論のこと。
スタンフォード大学のジョン・D.・クランボルツ教授が提唱したキャリア論である。
キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし対応することを積み重ねることで形成されるというもの。
予期せぬ偶然の出来事をプランドハプンスタンスに変えるには以下の5つの力を磨いておくことが大切であると言われている。
- 好奇心(Curiosity):新しい学習機会を模索すること
- 持続性(Persistence):失敗に屈せず努力をすること
- 楽観性(Optimism):新しい機会が「必ず実現する」「可能となる」と捉えること
- 柔軟性(Flexibility):信念、概念、態度、行動を変えること
- リスク・テイキング(Risk-taking):結果が不確実でも行動を起こすこと
キャリア論の中では、自分の適性等を見つけ、キャリアゴールを目指してキャリアを積んでいく「キャリアアンカー理論」と、偶然発生したことに対応し、その経験の積み重ねで形成される「プランドハプンスタンス理論」が対峙して論じられることがある。
どちらの理論が正しいということはない為、必要性や状況に応じて2つの理論を使い分け、行動や意思決定をすることが重要である。
プロジェクトチーム
ある一定期間内に取組むべき課題を遂行するために、特別に結成された臨時組織のことを指す。プロジェクトチームは、部門横断的に集められた専門的人材で編成されており、プロジェクトの目的が達成されると解散するのが通常である。
今日のビジネス環境においては、商品・サービス等の優劣の入れ替わりが激しく、中長期的な観点から編成されている固定的組織では対応できない事象が増加している。そのため、都度変化する目的に沿って立ち上げることができるプロジェクトチームを活用する企業が増えている。
プロジェクトマネジャー
プロジェクトの運営責任者、すなわち、プロジェクトマネジメント実践の責任者のこと。
プロジェクトの企画・提案、プロジェクトメンバーの指名、社内調整、顧客折衝、要件定義、受注、品質管理、進捗管理、コスト管理、リスク管理などを行う。また、これらに関して、プロジェクト決裁者に説明をし、承認を得ること。
プロジェクトマネージャーの行うべき作業のうちのいくつかは、プロジェクトリーダーにその実施を指示し報告を受けることで、より円滑なプロジェクトマネジメントが実現する。誰がどの範囲に責任を持ち実践するのかを決定するのもプロジェクトマネージャーの重要な仕事であり、マネジメント手腕の問われる。
プロセス評価
最終的な成果につながる「部分的な成果」「中間的な成果」を評価すること、つまり最終的な成果への「プロセスで顕在した価値」を評価すること。
個人に対して、成果主義を導入している企業において、どのようなプロセス評価を行うかが、評価の納得性や妥当性において重要な意味を持つ。例えば、売上を成果とした場合、顧客への提案件数や納期遵守率などの指標をプロセスとして評価する。成果を上げるためには具体的に何を、いつまで、どのように行うかを部門別、個人別に落とし込むことが大切になる。
プロフィール法
職務評価の量的評価方法のひとつである要素比較法の一つ。
各職務毎に、知識、心的適応性、責任の3要素によりプロフィールを作成し、このなかの知識要素に着目して基準職務の評価序列をつける方法。
プロフィットセンター
プロフィットセンター<(profit center)とは、事業部制組織における利益管理単位のこと。 事業部制組織では一般的に長期的経営計画を策定するトップマネジメントの下に自律的な事業部が置かれる。各事業部は短期的経営計画を策定し、売上、費用、営業、生産などを管理することにより利益目標の達成について責任をもつ。このような会社のトップマネジメントに対して利益責任をもつ単位のことを指す。
プロブスト式考課法
プロブスト式考課法(Probst's rating system)とは、人事考課の手法のひとつ。
人物像、執務行動などの特性について、長所・短所をあらわすものが混在するチェックリストを作成する。
このチェックリストに基づいて、考課者は被考課者の行動を観察し、各項目にある事実・行動が職務遂行上にあるかどうか確信がもてる事実についてのみをチェックする。
行動事実のみに着目するため考課者の主観を廃し考課誤差の発生を防ぐことが出来るが、一方、チェックリストの設計および点数化において心理学・統計学的な裏づけが必要となり、設計上の困難さが伴う。