ダーツ

Googleが採用する目標管理制度としてOKRがあります。アメリカではシリコンバレーのベンチャーを中心に導入が進んでいるそうです。日本でも新たな人事制度として導入する企業が増えてきました。OKRとはどのような仕組みなのでしょうか。そして導入するにはどうすればよいのでしょうか。
この記事を読めば、OKRの基本的な考え方から導入方法、メリット・デメリットまで全て理解することができます。今回はOKRについてあなたが知りたい情報を網羅する記事をご提供します。

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OKR(Objective and Key Results)とは?

ビジネスパーソンであれば、OKRという言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。まずはOKRの意味と歴史について解説します。

OKRの意味と定義

OKRは、「Objective and Key Results」の略です。日本語では「目標と主要な成果」と訳されます。しかし日本でもOKRという呼び方が一般的です。OKRは特に企業における組織業績の管理方法として近年浸透しています。従来のMBOのように個人目標を積み上げる目標管理ではなく、組織のミッションと結び付いた具体的で意味のある目標をチーム単位、個人単位で掲げ、達成に向けて各自が自律的に努力するシステムがOKRです。

OKRの特徴と歴史

OKRは、インテルの元CEOであるアンディ・グローブ氏によって提唱されました。アンディ・グローブ氏は著書「High Output Management 人を育て、成果を最大にするマネジメント」(日経BP社刊)の中でOKRを紹介しています。OKRは当初、インテル社のマネジメント手法としてインテル社の中だけで活用されてきました。

1983年に「High Output Management」でインテル社の目標管理手法として紹介されてからも、OKRはあまり注目を浴びず、それから20年以上ものあいだ実際に導入する企業は現れなかったそうです。その後、1999年になって創業したばかりのGoogleへOKRが取り入れられました。GoogleにOKRをもたらしたのは、Google出資者の一人であるジョン・ドーア氏でした。

そして2000年代以降、OKRは本格的にGoogleに導入され、Googleの目覚ましい成長に貢献。その成果を知ったアメリカのベンチャー企業を中心にOKRが広まっていったそうです。現在ではアメリカだけではなく、南米、ヨーロッパ、アジア、そして日本の企業にもOKRが浸透しています。

参考:「OKRとMBO」(鈴木良始 著)

OKRの構造と仕組み

OKRはObjective(目標)とKey Result(具体的な指標)の2つの要素から構成されます。

Objective(目標)

OKRの目標は、その名の通り達成すべき目標を示したものです。重要かつ具体的で実際に達成ができることが目標として設定されます。

OKRにおける目標設定の特徴

OKRは単なる目標設定ではなく、企業が向かう「あるべき姿」と「現状」を埋めるための手段として設定されます。そのためまず経営陣が今後の企業戦略を決めたうえで、具体的な目標が示されるのです。また、「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋めるための目標であるため、定量的な目標に限らず、定性的な目標が言葉で示される場合もあります。つまり単に数値として目標が設定されるのではなく、「なぜその目標なのか」という「WHY」も示されることが大きな特徴です。

目標設定の注意点

目標設定の際は、3~5個程度の目標に絞り込みます。また具体的かつ客観的で達成可能な目標を設定することも重要です。目標を絞り込んだら、次に目標の優先順位を決めましょう。トップダウンで目標を決めるのもよいですが、ボトムアップも組み合わせることで実効性が高いより良い目標が設定できます。
先ほどもお伝えしたように、OKRの目標は「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋めるためのツールです。1年、半年、四半期など設定された期間で本当に達成するべき目標は何かを考えて設定しましょう。

Key Results(目標達成のための具体的指標)

Key Results(KR)は目標を達成するためのベンチマークとなる具体的な指標です。

KRの特徴

原則として数値で示され、具体的で期限があり、現実に達成できるよりも少しストレッチしたものがKRになります。OKRの中でKRは、目標を達成するための行動計画としても機能します。また上位組織のKRが下位組織の目標(O)となり、最終的に個人目標へと連動していくのも大きな特徴です。

KR設定における注意点

KRは目標(O)を達成するための行動計画であるため、具体的である必要があります。あいまいなKRを設定した場合、下位組織やそこに所属する従業員の目標があいまいになり、最終的には会社全体の戦略を実現できなくなるでしょう。また、KRは測定可能かつ検証可能な数値であるため、四半期単位や月単位など定期的に見直されるべきです。さらにKRは客観的に誰から見てもわかりやすく納得感のあるものでなければなりません。

組織におけるOKRとは

OKRはとてもシンプルな仕組みです。目標を設定して、目標を達成するための指標を設定するだけです。そして最も特徴的なのが、組織の中で個人と組織の目標と指標が連動することです。

例えばある企業のある年の目標が「製品Aで日本一になること」だとします。その場合、組織の目標を達成する指標として「製品Aの市場シェアを10%上げる」「製品Aの顧客満足度を100%にする」「製品Aの生産数量を10%増やす」といった3つのKRが設定できるでしょう。こうした3つのKRが各部門の目標として設定されます。

「製品Aの市場シェアを10%上げる」であれば、営業部門で「市場シェア10%を上げる」という目標が設定され、営業部門のKRとして「新規顧客を10社獲得する」などが指標になります。そして営業部門の各グループに「新規顧客開拓を10社獲得する」が分解され、最終的に各個人の目標とKRが設定されるのです。この場合、個人レベルでは目標が「新規顧客を1社獲得」、指標が「商談10件」「成約率10%達成」といった形になります。こうした目標が連動するわかりやすさがOKRの特徴なのです。

ムーンショット目標とルーフショット目標

OKRは会社の「あるべき姿」を実現する仕組みであるため、目標設定はその企業の成長を左右するといっても過言ではありません。一般的に目標設定の種類には「ムーンショット目標」と「ルーフショット目標」があります。

ムーンショットとは文字通り「月に届く」ほどの挑戦的な目標を意味しています。従業員に高い成長を促し、劇的な成果を上げたい時にはムーンショット目標を設定すると良いでしょう。ただしムーンショット目標は、本当に難しい目標であるため達成率が50%~70%であったとしても成功とみなされます。反対に「ルーフショット目標」は、屋根に届くぐらいの実現可能な目標です。

少し頑張れば確実に達成できるレベルであるため、100%達成以外は失敗とみなされます。このように「ルーフショット目標」と「ムーンショット目標」の2つを使い分けながら、従業員の能力を高め、モチベーションをコントロールすることで、企業は強く成長していくのです。目標設定の際には、その年の会社の戦略を考慮したうえで、従業員のエンゲージメント状態も見極めながらいずれかの目標をうまく使い分けましょう。

OKR導入のメリット

OKRは近年、Googleが採用したことで特に有名になりました。なぜGoogleはOKRを採用したのでしょうか。また、OKRにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

OKR導入のメリット①環境変化への柔軟な対応ができる

OKRは環境変化に対して柔軟な対応ができることがメリットです。従来のMBOでは年単位で目標が設定され、目標を変更できたとしても半期のタイミングだけでした。またMBOでは上司と部下間で目標が設定されるため、時には組織の目標に連動しない目標が生まれることもありました。

しかしOKRでは、四半期ごとに目標が見直されるとともに、組織の目標が個人の目標と連動するため、環境変化により事業内容が変わっても新たな目標をすぐ設定して周知することが可能です。

OKR導入のメリット②全社員が同じ方向を向くことができる

OKRは、企業があるべき姿を達成するためのツールで、目標設定を通じて会社が目指す方向性を明確に示すことができます。OKRを生み出したインテル社はOKR導入により、全員で目標を共有することが可能になり、今日では代表的なプロセッサメーカーとして成長を続けています。このようにOKRでは、組織連動による目標設定と目標の共有により、全社員が同じ方向を向くことが可能になります。

OKR導入のメリット③会社への貢献度が見える化される

OKRは会社の目標が個人目標と連動する仕組みであるため、誰が最も貢献したのか一目瞭然でわかります。また、目標と、目標達成のための指標が具体的でわかりやすく示されています。そのため、従業員から見ても目標がわかりやすく、目標達成のために何をするべきか明確であるという特徴があります。

OKR導入のメリット④目標設定の無駄が生じない

OKRは無駄な目標が生まれないことも大きなメリットです。個人の目標は部署のKRであり、部署の目標は組織のKRになります。そのため組織が取り組むべき目標の優先順位が全員に共有され、無駄な目標が発生することがなくなるのです。結果、組織のパフォーマンスを最大化できるようになります。

OKR導入のメリット⑤従業員のパフォーマンスを管理しやすくなる

OKRを導入すると、会社の状況が一目瞭然になるため、従業員のパフォーマンスを管理しやすくなります。もし目標達成の進捗が遅れている場合、どの指標を改善すればよいのか、簡単に原因を究明できるのです。原因究明の結果、ある特定の従業員のKR進捗率が低下している場合、その従業員を指導すればパフォーマンスを改善できるでしょう。

OKRとほかの目標管理制度との違い

団結
OKRは便利な一方で、これまでのMBOと何が異なるのかわからないという声もあります。そこでOKRとほかの目標管理制度との違いを考えてみましょう。

OKRとMBO(目標管理制度)との違いは?

MBOは、日本企業で特に普及している目標管理制度です。MBOはもともとManagement By Objectiveの略で、日本語では目標によるマネジメントという表現になります。MBOはもともとその名の通り、目標によって部下のモチベーションを高めて目標達成へと導くマネジメント手法です。

部下が自ら目標を設定し、上司と目標をすり合わせることで、自らコミットした目標を達成します。上司の指示で目標を設定する場合もありますが、基本的には部下が考えてコミットした目標を設定します。一方、OKRは組織の目標と個人の目標が連動するため、達成すべき目標の大枠が予め定められている点がMBOとの違いです。

またMBOでは目標達成のための指標を必ずしも具体的に設定する必要がありません。MBOはあくまでも目標設定により部下のモチベーションを高めるマネジメント手法であるのに対して、OKRは組織のパフォーマンスを管理する手法です。

さらに、OKRのもともとの思想は「会社の戦略を実現する手段」であるため、必ずしも報酬と個人目標の成果は連動しません。例えばムーンショット目標のような高い目標を設定した場合、もともとが困難な目標であるため、個人目標の達成度だけではなく、会社全体で個人の定性的な努力を客観的に評価して報酬が分配されます。一方でMBOでは目標と報酬が連動するのが特徴です。

MBOOKR
提唱者ピーター・ドラッカーアンディ・グローブ
成立年1954年1971年頃
主な採用企業GEインテル、Google
報酬との連動連動する必ずしも連動はしない
目的個人の業績管理組織の業績管理

OKRと成果主義人事制度との違いは?

組織のパフォーマンスを高める人事制度として、成果主義人事制度があります。成果主義人事制度は、日本では90年代後半から2000年代前半に取り入れられました。それまでの日本企業では、職能評価制度が主流であり、評価はプロセス評価中心で行われてきました。

しかしバブル崩壊による低成長時代を迎えた日本では、大手企業でも早期退職などのリストラを行い、企業のパフォーマンスを高める取り組みが活発化しました。その取り組みの中で、従業員を成果で管理する成果主義人事制度が生まれたのです。

成果主義人事制度は、文字通り成果により従業員を評価して報酬を決定する仕組みです。目標を大幅に達成できれば良い報酬が支払われ、逆に未達であれば報酬が下がります。多くの場合、成果主義人事制度ではMBOを基本として導入が行われました。つまり目標はあくまでも従業員が上司とすり合わせた目標を設定していました。OKRも目標達成の度合いに応じて評価されますが、成果主義人事制度はMBOを基本とする点でOKRとは異なります。

OKRと方針管理との違いは?

日本のメーカーでは戦後、方針管理が導入されました。方針管理とは、経営方針を達成するために行う業務管理の仕組みです。基本的には年単位で経営方針が決まり、その方針を達成するための目標や方策が部門ごとに設定されます。そして部門ごとの目標や方策が最終的には個人レベルにまで落とし込まれるのです。

一見、OKRと似たような仕組みだと感じられます。しかし方針管理では年単位で方針が決まるとともに、計画・実行・見直しといういわゆるPDCAサイクルを回していくことが特徴です。OKRは方針ではなく、組織が達成すべき優先度の高い目標が設定され、同時に目標達成のための指標が決められます。方針管理は方針と方策、そしてPDCAサイクルという大掛かりな仕組みであるのに対し、OKRは目標と指標というシンプルな仕組みで構成される点が違いです。

OKR導入のよくある失敗例と課題

実際にOKRを導入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そこで、OKR導入におけるよくある失敗例を紹介します。

失敗例①とりあえずOKRを入れてみた

特によくある失敗例は、とりあえずOKRを入れてみた結果、OKRが機能しなかった事例です。OKRはGoogleが取り入れたことで有名になり、日本でもベンチャー企業を中心に導入が進みました。そのため一部のIT企業やベンチャー企業では、「評価制度といえばOKR」という認識が広まっています。しかし、OKRの本質を理解せず、評価制度として取り入れるケースもあるそうです。

OKRはもともと評価制度ではなく、組織の目標達成に向けてパフォーマンスを高めるマネジメント手法であるため、単なる評価制度として運用開始してもうまくいかない場合も多いでしょう。OKRという手段ありきではなく、まずは何のために目標管理制度や評価制度を導入するのかを検討しましょう。

失敗例②結局、MBOと同じ運用になった

もう一つのよくある事例は、MBOを運用していた企業がOKRを導入した結果、それまでのMBOと同じ運用になったケースです。当初は組織目標が部門や組織の目標と連動していたものの、個人目標を上司とすり合わせるうちにMBOと同じ運用になってしまうのです。

このケースも、OKRの本来の考え方を理解しない管理職がいることで発生しうる事例です。MBOは従業員のモチベーションを高める手法であるのに対し、OKRは組織のパフォーマンスを高める手法であることを全社員に徹底的に周知しましょう。

OKRは考え方と運用方法を理解することが重要

OKRを導入するには、導入目的を明確にするとともに、OKRの考え方と運用方法を理解することがとても重要です。もともとOKRは、インテル社が事業内容の変更を成功させるために導入した仕組みでした。つまりOKRは、単に評価や目標を管理するための手法ではありません。自社にOKRを導入する場合も、OKRを通じて何を達成したいのかをよく考えましょう。

また、OKRは目標を全社員で共有するという考え方が運用において中心的な要素の一つです。全社員ミーティングなどを通じて目標を全社員に周知することが重要です。このことを理解せずにOKRを運用しても、うまく機能しません。

目標を設定する、指標を決める、目標を全社員に周知する、個人レベルにOKRを分解する、こうしたプロセスが揃って初めてOKRは機能します。運用方法をきちんと理解して導入しましょう。

OKRの導入と運用方法

アイデアだし
実際にOKRを導入するにはどのようにすればよいのでしょうか。導入方法と運用方法をご紹介します。

手順①従来の目標管理制度の問題点を検証する

もしあなたが、従来の目標管理制度(MBO)からOKRへのリプレースを検討しているなら、まずはこれまでのMBOではなぜいけないのかを考えてみましょう。問題点を検証した結果、例えば、年単位での目標設定が業務の実態と合わなくなってきている、あるいは従業員の目標設定が組織目標と連動できていないことで組織のパフォーマンスが低下しているといった事実が判明したとします。
こうした事実をさらに検証し、OKRが自社にとって組織のパフォーマンスを高める最適な手段であるならOKRを導入しても良いでしょう。

手順②OKRで解決したい課題を決める

どんな管理手法も、何かを解決する手段でしかありません。前提として、OKRは組織のパフォーマンスを高める手法の一つです。従来の目標管理制度を検討した結果、組織のパフォーマンスを阻害する要因が見つかったなら、その要因を解決する手段としてOKRが最適だとしたら、OKRでどのような組織課題を解決できるのか明確にしておきましょう。解決したい課題を明確にできれば、OKR導入に対して経営陣や従業員の理解が得られやすいでしょう。

手順③OKRの運用方法を決める

OKRは基本的には年単位と四半期単位の目標設定が行われます。ただし事業サイクルによっては、年単位や半期単位、毎月単位が良い場合もあります。例えば、原子力プラントのような大型製品を提供する企業であれば売上目標は数年単位になるでしょう。数年単位の目標に対して、年単位のOKRを設定することになります。

一方で成長著しいベンチャー企業では、OKRは月単位でもよいかもしれません。また、季節商品を扱う企業では季節ごとにOKRを見直す必要があるかもしれません。このように、自社の事業サイクルに合わせてOKRの運用方法を決めましょう。

手順④OKRに適したツールを導入する

少人数であれば、OKRはエクセルシートでも管理できるかもしれません。しかし数百人から数万人単位となると、専用システムが必要になります。また、OKRは最低でも四半期単位で見直しが求められます。数万人単位の目標を見直すとなると、OKRに適したシステムの導入が必須になるでしょう。

またOKRに特化したツールを使用することで、全社単位で目標達成の進捗状況を確認でき、進捗が遅れている場合でもすぐに原因を特定できます。こうしたOKRの運用のしやすさや、従業員の使いやすさから最適な運用ツールを検討しましょう。

手順⑤企業OKRを決める

OKR導入に向けた準備が完了したら、いよいよOKR設定です。まずは組織のOKRを決めましょう。OKRは優先すべき目標を3つ程度に絞り込んだうえで、それぞれの目標に対して達成に必要な指標を設定していきます。

組織のOKR設定の際には、必ず従業員と組織のOKRとその設定背景について考え方を共有することが重要です。OKRは企業の目標達成のために、従業員がいま何に取り組むべきか、優先度を整理したものであるからです。OKRにおいてはすべての従業員が、目標が何か、どうすれば目標達成できるのか、企業の戦略や評価軸は何かを完全に理解する必要があります。

手順⑥部門/チームOKRを決める

企業のOKRを決めたら、部門単位、チーム単位にOKRを分解していきます。部門やチームのOKRを設定するには、いくつか注意すべき点があります。
まず、OKRは組織目標と指標(KR)を部門とチームに分解するため、各部門・チームの目標は組織の指標につながっていなければなりません。

また、単に目標を決めるだけではなく、組織の指標を達成するために、部門・チームとして優先すべき目標が何かを整理する必要があります。さらには、部門間やチーム間で目標をすり合わせて、抜けている優先事項がないか、最終確認もしましょう。

手順⑦個人OKRを決める

チームのOKRが決まったら、最終的に個人のOKRも決定していきます。個人のOKRも部門・チームのOKR設定と同様、チームの指標を達成するために個人が優先して取り組むべきことは何かを考え、3~5つの目標を設定していきます。目標が設定できたら、それぞれの目標に対して個人レベルで取り組み指標を考えましょう。

手順⑧OKRを調整する

個人レベルのOKRが決まったら、OKRに抜け漏れがないか調整します。チームメーンバー同士のOKRを見比べて、メンバーのOKRが本当に部署のOKRを達成できるかを考えましょう。もし抜け漏れがある場合は、メンバーと相談してOKRを調整していきます。調整する際には、押しつけではなく、チームのOKRを達成するためにどうすればよいのかを改めてメンバーと一緒に考えるようにしましょう。

手順⑨定期的に進捗確認を行う

OKRは設定して終わりではありません。変化の激しい現代では、目標を常に見直す必要があります。OKRも最低でも四半期単位で見直していく必要があります。また、OKRは目標に対する進捗率がわかりやすいマネジメント手法です。最低でも月単位で進捗を確認し、個人レベルでは上司との面談、チームではMTGで進捗状況を共有します。

同時に組織単位では、部門長同士のミーティングや経営会議で進捗状況の確認を行い、もし進捗が遅れているなら必ず見直すようにしましょう。
OKRの仕組み自体は非常にシンプルですが、実際に導入しようとなるとそれなりの手間がかかります。しかしあなたの組織にとってOKRが組織パフォーマンスを上げるために有効な手段であるなら、手間をかけてでもOKRを導入するべきではないでしょうか。

OKRを効果的に運用するには?

OKRは組織のパフォーマンス向上に効果的なツールです。一方で効果的に運用するにはいくつかのポイントがあります。

概念をよく理解する

まずはOKRの概念をよく理解しましょう。人事だけではなく、経営層から一般社員に至るまで全員がOKRの仕組みを理解しなければOKRは機能しないでしょう。OKRを理解するためには、一般的なインターネット上の情報だけではなく、信頼できる文献を参照するべきです。特にOKR発祥であるインテル社の仕組みを知ることはOKRの深い理解につながります。

・おすすめの文献
OKRとMBO」(鈴木良始 著)
Google re:Work: OKRを設定する
High Output Management 人を育て、成果を最大にするマネジメント」(日経BP社刊)

OKRを活用して得られた短期的成果を共有する

OKR導入直後の業績レビューは最も重要なタイミングです。導入効果が最も現れやすいタイミングだからです。少しでも業績に影響があれば、OKR導入に反対した社員からの反発が起きるでしょう。

そのため何か小さなことでもよいので、OKR導入によって得られた短期的成果を示す必要があります。導入により少しでも改善できたことや達成できたことを大々的に社内で共有できれば、従業員のOKRに対する納得度も高くなっていくでしょう。

成果をもとに自社に合わせて改善する

インテルやGoogleが導入しているからといって、OKRがそのまま自社に最適なツールであるとは言えません。OKR導入の成果や改善点をもとに自社に合った方法へと進化させていきましょう。そもそもOKRは企業の戦略を実現するツールでしかありません。もしOKR導入によって長期的にパフォーマンスが向上しないなら、OKRをやめることも選択肢に入れながら、改善に取り組んでいきましょう。

OKR導入事例

OKRはいまでは世界中の企業で導入されています。その中でも、OKRを導入した代表的な企業の事例をご紹介します。

Google

GoogleのOKRは、Googleの株主の一人であるインテル出身の投資家ジョン・ドーアによってもたらされました。ジョン・ドーアはインテル時代にアンディ・グローヴからOKRについて学びました。その後、2000年代初頭にGoogleへ参画してから、OKRを試験的に運用開始。Googleの経営陣にOKRの有用性が認められるようになってからは、Googleでは年単位と四半期単位でOKRを設定して全社ミーティングによりOKRの内容を従業員へ周知しています。

メルカリ

いまや世界的なユニコーン企業となったメルカリもOKRを導入する企業の一つです。メルカリは2015年にOKRを導入。当時はまだ日本企業でOKR導入企業が少ない中、英語の文献を読みながら導入を進めたそうです。

メルカリでは四半期ごとにOKRを設定。部署やチーム単位で1on1を行いながら常に進捗状況を確認しています。また、OKRの進捗状況はマネージャーが担い、事業部の全社員が集まるミーティングで達成度合いを「グリーン」「イエロー」「レッド」という表現で共有するそうです。

メルカリでは経営層を含め、全社員はOKRが重要なマネジメントツールであることを強く認識しています。OKRのおかげでメルカリでは社員が目の前の仕事だけではなく、プラスアルファのチャレンジングな目標にも積極的に取り組むカルチャーがあるのです。メルカリの急成長は、間違いなくOKRのおかげと言えるでしょう。

参考:「OKRのリアルなハナシ 〜(株)メルカリの場合〜

OKR運用でよくある質問

OKRを実際に運用し始めると、様々な疑問が出てくるものです。特によくある質問と対処方法について解説します。

目標設定方法がわからない

MBOからOKRに切り替えた企業でよくあるのが「目標設定方法がわからない」という質問です。OKRでは上位組織のKRが下位組織と従業員の目標になります。しかし、KRが具体的な内容になっていない場合、下位組織の目標はあいまいになってしまうでしょう。

そしてあいまいなKRがさらに個人へと展開されると、さらにあいまいな目標が生まれます。従来の日本的なMBOの発想では従業員自らが年間目標を設定していました。しかしOKRは組織の「あるべき姿」と「現状」のギャップを埋める手段として機能します。

まずはOKRが、これまで単なる評価制度として機能してきたMBOとは全く異なるマネジメント手法であることをよく理解しましょう。もし従業員から「目標設定がわからない」という質問が出た場合は、全社的にOKRの概念や意味が伝わっていない可能性があります。

経営層や管理職に繰り返しOKRの仕組みを説明したうえで、管理職から一般社員に説明ができるようにトレーニングを行いましょう。OKRの動画解説や資料を社内SNSなどで共有できれば、誰かがOKRについてわからなくなった場合でもすぐに復習できます。こうしたマニュアルを用意しておくのもおすすめです。

上位組織のKRと下位組織の目標が嚙み合わない

OKRを初めて設定した際、上位組織のKRと下位組織の目標が嚙み合わない場合があります。上位組織と下位組織で会社の「あるべき姿」と「現状」とのギャップの認識に乖離がある場合に起こるケースです。その場合は、上位組織と下位組織の全社員が集まって目標について議論をするべきです。

OKRはトップダウンの仕組みだと思われがちですが、本来の思想は全社員が会社の「あるべき姿」の実現に向けて目標を話し合う「全員経営」の仕組みと言えます。OKR運用には全社員が目標を議論するプロセスが欠かせません。目標が嚙み合わない時は面倒でも、上位組織と下位組織両者の目標が合致するまで議論を続けましょう。

OKRを継続的に運用するには?

OKRは導入したらそれで終わりではありません。マネジメント手法として定着させ、企業業績を向上させるには継続的な運用が必要です。OKRを導入した企業の中には、結局運用がうまくいかずMBOに制度を戻した企業もあります。継続的な運用にはどのようなことに気を付けるべきでしょうか。

対話の文化をつくる

OKRの継続運用において最も重要な取り組みが対話の文化をつくることです。ここまで繰り返しご紹介したように、OKRは経営層と全社員が会社の「あるべき姿」とそれを達成する手段を共有することが基本的な思想です。全社員が会社の方向性を理解して自ら成すべき仕事に積極的に取り組むからこそ、OKRは機能するのです。

今回ご紹介したGoogleやメルカリでも全社員ミーティングを実施して会社の目指す方向性や重点的な取り組みを共有しています。同時に部門や部署単位で目標について関係者全員で議論を続けているそうです。こうした全社員によるミーティングをやり続け、対話の文化をつくることがOKR運用継続に最も重要なポイントです。

管理職による1on1を続ける

OKRでは管理職が進捗管理を行います。進捗管理には1on1が欠かせません。実はOKRと1on1はセットなのです。むしろOKRの仕組みの一部が1on1だとも言えます。OKRを考案したインテル社にも1on1が根付いていました。マネージャーが定期的に部下の進捗状況を確認し、「なぜうまくいっているのか」「なぜうまくいっていないのか」をヒアリングします。

同時に目標達成に向けて自発的な取り組みを促すために、部下に対してコーチングを行うのです。管理職による1on1を続けることで、OKRにおける目標達成の精度は高くなり、社員が自発的に仕事に取り組む文化が根付いていくでしょう。

絶えず改善する

OKRは決まりきった仕組みではありません。基本的な思想や仕組みを理解しつつも、自社の社風にあったものに改善していく必要があります。メルカリでもOKRの運用を続けながら、評価フローや人事制度の変更などの試行錯誤を続けてきたそうです。途中ではOKRをITシステムで運用する仕組みも取り入れました。このように、常にOKRの運用状況を見ながら自社に合った改善を続けることが継続的な運用に重要なポイントと言えます。

今回はOKRの概念、導入方法、運用方法、事例まで詳しくご紹介してきました。ぜひあなたも今回ご紹介した内容を参考にしながら、あなたの会社に合ったOKR運用を実現してください。

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