ダーツ

Googleが採用する目標管理制度としてOKRがあります。アメリカではシリコンバレーのベンチャーを中心に導入が進んでいるそうです。日本でも新たな人事制度として導入する企業が増えてきました。OKRとはどのような仕組みなのでしょうか。そして導入するにはどうすればよいのでしょうか。
この記事を読めば、OKRの基本的な考え方から導入方法、メリット・デメリットまで全て理解することができます。今回はOKRについてあなたが知りたい情報を網羅する記事をご提供します。

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OKR(Objective and Key Results)とは?

OKRとは、Objective and Key Resultという2つの言葉の頭文字から構成される略語で、企業における目標管理手法の一つです。Googleが採用したことで有名になりましたが、もともとはインテルのCEOだったアンディ・グローヴが1983年に出版した「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」で紹介された考え方です。OKRとはどのような仕組みなのでしょうか。

OKRの構造と仕組み

OKRはObjective(目標)とKey Result(具体的な指標)の2つの要素から構成されます。

Objective(目標)

OKRの目標は、その名の通り達成すべき目標を示したものです。重要かつ具体的で実際に達成ができることが目標として設定されます。

Key Results(目標達成のための具体的指標)

Key Results(KR)は目標を達成するためのベンチマークとなる具体的な指標です。
原則として数値で示され、具体的で期限があり、現実に達成できるよりも少しストレッチしたものが指標になります。

測定可能かつ検証可能な数値であり、多くの場合、四半期単位や月単位など定期的に見直される場合が多いでしょう。さらに、KRは客観的に誰から見てもわかりやすく納得感のあるものでなければなりません。

組織におけるOKRとは

OKRはとてもシンプルな仕組みです。目標を設定して、目標を達成するための指標を設定するだけです。そして最も特徴的なのが、組織の中で個人と組織の目標と指標が連動することです。

例えばある企業のある年の目標が「製品Aで日本一になること」だとします。その場合、組織の目標を達成する指標として「製品Aの市場シェアを10%上げる」「製品Aの顧客満足度を100%にする」「製品Aの生産数量を10%増やす」といった3つのKRが設定できるでしょう。こうした3つのKRが各部門の目標として設定されます。

「製品Aの市場シェアを10%上げる」であれば、営業部門で「市場シェア10%を上げる」という目標が設定され、営業部門のKRとして「新規顧客を10社獲得する」という指標になります。そして営業部門の各グループに「新規顧客開拓を10社獲得する」が分解され、最終的に各個人の目標とKRが設定されるのです。この場合、個人レベルでは目標が「新規顧客を1社獲得」、指標が「商談10件」「成約率10%達成」となります。こうした目標が連動するわかりやすさがOKRの特徴なのです。

なぜGoogleはOKRを導入したのか?OKR導入のメリット

OKRは近年、Googleが採用したことで特に有名になりました。なぜGoogleはOKRを採用したのでしょうか。また、OKRにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

GoogleのOKR

Google
GoogleのOKRは、Googleの株主の一人であるインテル出身の投資家ジョン・ドーアによってもたらされました。ジョン・ドーアはインテル時代にアンディ・グローヴからOKRについて学びました。その後、2000年代初頭にGoogleへ参画してから、OKRを試験的に運用開始。Googleの経営陣にOKRの有用性が認められるようになってからは、Googleでは年単位と四半期単位でOKRを設定して全社ミーティングによりOKRの内容を従業員へ周知しています。

OKR導入のメリット①環境変化への柔軟な対応ができる

OKRが近年の日本でも注目されるようになった背景として、いくつかの理由があります。
1つ目は環境変化に対して柔軟な対応ができることです。従来のMBOでは年単位で目標が設定され、目標を変更できたとしても半期のタイミングだけでした。またMBOでは上司と部下間で目標が設定されるため、時には組織の目標に連動しない目標が生まれることもありました。

しかしOKRでは、四半期ごとに目標が見直されるとともに、組織の目標が個人の目標と連動するため、環境変化により事業内容が変わっても新たな目標をすぐ設定して周知することが可能です。

OKR導入のメリット②全社員が同じ方向を向くことができる

OKRは、もともとインテル社がメモリメーカーからプロセッサメーカーへの転換を図る際に生まれたマネジメント手法です。インテル社はOKR導入により、全員で目標を共有することが可能になり、今日では代表的なプロセッサメーカーとして成長を続けています。このようにOKRでは、組織連動による目標設定と目標の共有により、全社員が同じ方向を向くことが可能になります。

OKR導入のメリット③会社への貢献度が見える化される

OKRを従業員の視点から考えてみましょう。OKRは目標と、目標達成のための指標が具体的でわかりやすく示されています。そのため従業員から見ても目標がわかりやすく、目標達成のために何をするべきか明確であるという特徴があります。そのため個人の目標への貢献度が指標の達成度により見える化され、会社に対してどれだけ貢献できているかを従業員も経営陣もすぐに把握できます。

OKR導入のメリット④目標設定の無駄が生じない

OKRは組織の目標と個人の目標が連動する仕組みです。個人の目標は部署のKRであり、部署の目標は組織のKRになります。そのため組織が取り組むべき目標の優先順位が全員に共有され、無駄な目標が発生することがなくなるのです。結果、組織のパフォーマンスを最大化できるようになります。

OKR導入のメリット⑤従業員のパフォーマンスを管理しやすくなる

OKRでは全従業員の目標と達成のための指標が見える化されます。その結果、もし目標達成の進捗が遅れている場合、どの指標を改善すればよいのか、簡単に原因を究明できるのです。原因究明の結果、ある特定の従業員のKR進捗率が低下している場合、その従業員を指導すればパフォーマンスを改善できるでしょう。OKRは従業員のパフォーマンスを管理しやすくなるのもメリットの一つです。

OKRとほかの目標管理制度との違い

団結
OKRは便利な一方で、これまでのMBOと何が異なるのかわからないという声もあります。そこでOKRとほかの目標管理制度との違いを考えてみましょう。

OKRとMBO(目標管理制度)との違いは?

MBOは、日本企業で特に普及している目標管理制度です。MBOはもともとManagement By Objectiveの略で、日本語では目標によるマネジメントという表現になります。MBOはもともとその名の通り、目標によって部下のモチベーションを高めて目標達成へと導くマネジメント手法です。

部下が自ら目標を設定し、上司と目標をすり合わせることで、自らコミットした目標を達成します。上司の指示で目標を設定する場合もありますが、基本的には部下が考えてコミットした目標を設定します。一方、OKRは組織の目標と個人の目標が連動するため、達成すべき目標の大枠が予め定められている点がMBOとの違いです。

またMBOでは目標達成のための指標を必ずしも具体的に設定する必要がありません。MBOはあくまでも目標設定により部下のモチベーションを高めるマネジメント手法であるのに対して、OKRは組織のパフォーマンスを管理する手法です。

OKRと成果主義人事制度との違いは?

組織のパフォーマンスを高める人事制度として、成果主義人事制度があります。成果主義人事制度は、日本では90年代後半から2000年代前半に取り入れられました。それまでの日本企業では、職能評価制度が主流であり、評価はプロセス評価中心で行われてきました。

しかしバブル崩壊による低成長時代を迎えた日本では、大手企業でも早期退職などのリストラを行い、企業のパフォーマンスを高める取り組みが活発化しました。その取り組みの中で、従業員を成果で管理する成果主義人事制度が生まれたのです。

成果主義人事制度は、文字通り成果により従業員を評価して報酬を決定する仕組みです。目標を大幅に達成できれば良い報酬が支払われ、逆に未達であれば報酬が下がります。多くの場合、成果主義人事制度ではMBOを基本として導入が行われました。つまり目標はあくまでも従業員が上司とすり合わせた目標を設定していました。OKRも目標達成の度合いに応じて評価されますが、成果主義人事制度はMBOを基本とする点でOKRとは異なります。

OKRと方針管理との違いは?

日本のメーカーでは戦後、方針管理が導入されました。方針管理とは、経営方針を達成するために行う業務管理の仕組みです。基本的には年単位で経営方針が決まり、その方針を達成するための目標や方策が部門ごとに設定されます。そして部門ごとの目標や方策が最終的には個人レベルにまで落とし込まれるのです。

一見、OKRと似たような仕組みだと感じられます。しかし方針管理では年単位で方針が決まるとともに、計画・実行・見直しといういわゆるPDCAサイクルを回していくことが特徴です。OKRは方針ではなく、組織が達成すべき優先度の高い目標が設定され、同時に目標達成のための指標が決められます。方針管理は方針と方策、そしてPDCAサイクルという大掛かりな仕組みであるのに対し、OKRは目標と指標というシンプルな仕組みで構成される点が違いです。

OKR導入のよくある失敗例と課題

実際にOKRを導入したいと考えている方も多いのではないでしょうか。そこで、OKR導入におけるよくある失敗例を紹介します。

失敗例①とりあえずOKRを入れてみた

特によくある失敗例は、とりあえずOKRを入れてみた結果、OKRが機能しなかった事例です。OKRはGoogleが取り入れたことで有名になり、日本でもベンチャー企業を中心に導入が進みました。そのため一部のIT企業やベンチャー企業では、「評価制度といえばOKR」という認識が広まっています。しかし、OKRの本質を理解せず、評価制度として取り入れるケースもあるそうです。

OKRはもともと評価制度ではなく、組織の目標達成に向けてパフォーマンスを高めるマネジメント手法であるため、単なる評価制度として運用開始してもうまくいかない場合も多いでしょう。OKRという手段ありきではなく、まずは何のために目標管理制度や評価制度を導入するのかを検討しましょう。

失敗例②結局、MBOと同じ運用になった

もう一つのよくある事例は、MBOを運用していた企業がOKRを導入した結果、それまでのMBOと同じ運用になったケースです。当初は組織目標が部門や組織の目標と連動していたものの、個人目標を上司とすり合わせるうちにMBOと同じ運用になってしまうのです。

このケースも、OKRの本来の考え方を理解しない管理職がいることで発生しうる事例です。MBOは従業員のモチベーションを高める手法であるのに対し、OKRは組織のパフォーマンスを高める手法であることを全社員に徹底的に周知しましょう。

OKRは考え方と運用方法を理解することが重要

OKRを導入するには、導入目的を明確にするとともに、OKRの考え方と運用方法を理解することがとても重要です。もともとOKRは、インテル社が事業内容の変更を成功させるために導入した仕組みでした。つまりOKRは、単に評価や目標を管理するための手法ではありません。自社にOKRを導入する場合も、OKRを通じて何を達成したいのかをよく考えましょう。

また、OKRは目標を全社員で共有するという考え方が運用において中心的な要素の一つです。全社員ミーティングなどを通じて目標を全社員に周知することが重要です。このことを理解せずにOKRを運用しても、うまく機能しません。
目標を設定する、指標を決める、目標を全社員に周知する、個人レベルにOKRを分解する、こうしたプロセスが揃って初めてOKRは機能します。運用方法をきちんと理解して導入しましょう。

OKRの導入と運用方法

アイデアだし
最後に、実際にOKRを導入するにはどのようにすればよいのでしょうか。導入方法と運用方法をご紹介します。

手順①従来の目標管理制度の問題点を検証する

もしあなたが、従来の目標管理制度(MBO)からOKRへのリプレースを検討しているなら、まずはこれまでのMBOではなぜいけないのかを考えてみましょう。問題点を検証した結果、例えば、年単位での目標設定が業務の実態と合わなくなってきている、あるいは従業員の目標設定が組織目標と連動できていないことで組織のパフォーマンスが低下しているといった事実が判明したとします。

こうした事実をさらに検証し、OKRが自社にとって組織のパフォーマンスを高める最適な手段であるならOKRを導入しても良いでしょう。

手順②OKRで解決したい課題を決める

どんな管理手法も、何かを解決する手段でしかありません。前提として、OKRは組織のパフォーマンスを高める手法の一つです。従来の目標管理制度を検討した結果、組織のパフォーマンスを阻害する要因が見つかったなら、その要因を解決する手段としてOKRが最適だとしたら、OKRでどのような組織課題を解決できるのか明確にしておきましょう。解決したい課題を明確にできれば、OKR導入に対して経営陣や従業員の理解が得られやすいでしょう。

手順③OKRの運用方法を決める

OKRは基本的には年単位と四半期単位の目標設定が行われます。ただし事業サイクルによっては、年単位や半期単位、毎月単位が良い場合もあります。例えば、原子力プラントのような大型製品を提供する企業であれば売上目標は数年単位になるでしょう。数年単位の目標に対して、年単位のOKRを設定することになります。

一方で成長著しいベンチャー企業では、OKRは月単位でもよいかもしれません。また、季節商品を扱う企業では季節ごとにOKRを見直す必要があるかもしれません。このように、自社の事業サイクルに合わせてOKRの運用方法を決めましょう。

手順④OKRに適したツールを導入する

少人数であれば、OKRはエクセルシートでも管理できるかもしれません。しかし数百人から数万人単位となると、専用システムが必要になります。また、OKRは最低でも四半期単位で見直しが求められます。数万人単位の目標を見直すとなると、OKRに適したシステムの導入が必須になるでしょう。

またOKRに特化したツールを使用することで、全社単位で目標達成の進捗状況を確認でき、進捗が遅れている場合でもすぐに原因を特定できます。こうしたOKRの運用のしやすさや、従業員の使いやすさから最適な運用ツールを検討しましょう。

手順⑤企業OKRを決める

OKR導入に向けた準備が完了したら、いよいよOKR設定です。まずは組織のOKRを決めましょう。OKRは優先すべき目標を3つ程度に絞り込んだうえで、それぞれの目標に対して達成に必要な指標を設定していきます。

組織のOKR設定の際には、必ず従業員と組織のOKRとその設定背景について考え方を共有することが重要です。OKRは企業の目標達成のために、従業員がいま何に取り組むべきか、優先度を整理したものであるからです。OKRにおいてはすべての従業員が、目標が何か、どうすれば目標達成できるのか、企業の戦略や評価軸は何かを完全に理解する必要があります。

手順⑥部門/チームOKRを決める

企業のOKRを決めたら、部門単位、チーム単位にOKRを分解していきます。部門やチームのOKRを設定するには、いくつか注意すべき点があります。

まず、OKRは組織目標と指標(KR)を部門とチームに分解するため、各部門・チームの目標は組織の指標につながっていなければなりません。また、単に目標を決めるだけではなく、組織の指標を達成するために、部門・チームとして優先すべき目標が何かを整理する必要があります。さらには、部門間やチーム間で目標をすり合わせて、抜けている優先事項がないか、最終確認もしましょう。

手順⑦個人OKRを決める

チームのOKRが決まったら、最終的に個人のOKRも決定していきます。個人のOKRも部門・チームのOKR設定と同様、チームの指標を達成するために個人が優先して取り組むべきことは何かを考え、3~5つの目標を設定していきます。目標が設定できたら、それぞれの目標に対して個人レベルで取り組み指標を考えましょう。

手順⑧OKRを調整する

個人レベルのOKRが決まったら、OKRに抜け漏れがないか調整します。チームメーンバー同士のOKRを見比べて、メンバーのOKRが本当に部署のOKRを達成できるかを考えましょう。もし抜け漏れがある場合は、メンバーと相談してOKRを調整していきます。調整する際には、押しつけではなく、チームのOKRを達成するためにどうすればよいのかを改めてメンバーと一緒に考えるようにしましょう。

手順⑨定期的に進捗確認を行う

OKRは設定して終わりではありません。変化の激しい現代では、目標を常に見直す必要があります。OKRも最低でも四半期単位で見直していく必要があります。また、OKRは目標に対する進捗率がわかりやすいマネジメント手法です。最低でも月単位で進捗を確認し、個人レベルでは上司との面談、チームではMTGで進捗状況を共有します。同時に組織単位では、部門長同士のミーティングや経営会議で進捗状況の確認を行い、もし進捗が遅れているなら必ず見直すようにしましょう。

OKRの仕組み自体は非常にシンプルですが、実際に導入しようとなるとそれなりの手間がかかります。しかしあなたの組織にとってOKRが組織パフォーマンスを上げるために有効な手段であるなら、手間をかけてでもOKRを導入するべきではないでしょうか。

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